鉄道博物館考(3)怒濤の車両展示2

前項に引き続いて車両展示について。
3回に分けなければ紹介できないほど、興味深い車両がグッドコンディションで置いてあります。
期待していた御料車についてはガラス越しに見られるだけでちょっと残念でした。写真も非常に撮りにくいです。中を美しい写真で紹介した冊子がぽつねんと置いてあるのですが、パネル形式にしてもっと中の写真を見られるようにして貰うといいですね。また1日に数回でもいいので間近で見られるツアーなどがあるといいですね。





交通博物館から引き続いてC57の展示。グレードアップしたのは転車台の上に載せられていて、1日に数回解説・汽笛付きでぐるりと回ることです。この時に、女性が解説してくれるのですが、今までの交通博物館では考えられないような上品な方で、子供に付き合って付いてきたというようなお父さんにもきちんとアピールしていると思います。解説員以外でも女性の職員が多く、皆さん若い聡明そうな方でJR東日本の気合いが伝わってきます。こういうところ、一番重要な割に見過ごされがちですよね。
いやいや、C57のことでしたね。これは同行の岡田君曰く、「労働争議でテンダー車(炭水車)にでかく労働争議(スト権スト)のスローガンが書かれてその消された痕跡がある」とのことでじっくりと見てきましたが、その痕跡ははっきりとは見えませんでした。なんとなく確かに書いてあった気はしますが・・・一応国鉄最期の旅客用蒸気機関車ということでの展示です。



戦前の電気機関車ED17。横から見ると縦に長いデフォルメされたようなスタイルがとてもかわいらしく、好きな機関車です。ちょっと撮影位置が取れず前面から。
大正時代に製造されて1970年まで使用されたというのですから近年の通勤車両に比べると非常に長持ちですよね。




20系寝台客車。国鉄時代の客車ではこの車両が一番国鉄の良いカラーを出しているように思います。
1958年から製造が開始されましたが、正直この時から最近まで2等寝台のサービス・設備は例外を除いて3段が2段になるくらいで大して変わっていませんので、そりゃ利用者減で廃止に追い込まれるのも当然だなと思いました。






このあたりからだいぶなじみの車両が増えてきます。
485系181系の前部です。



展示として秀逸だったのは481は交直流車両なのでパンタグラフ周りに整流器が取り付けられており、それが間近で見られることです。181と比較できるのもとてもいい展示だと思いました。



この車両で思ったのは今の列車と比較してどのくらい車内サービスが進化しているのか。正直な感想として、椅子はリクライニングでなかったり肘掛けが真ん中にはなかったりと細かい点で違いはありますが、これが1960年代の特急ですから、基本的なサービスはこの時点からそれほど進化していないと感じました。もっといえば151系パーラーカーなど1等車(厳密には2等車ですが)のサービス水準というのは今ではほとんど無くなってしまっているので、スピード以外のサービスはずいぶん停滞しているなあと感じた次第です。新幹線700系の車内走行騒音などはドイツのICEに比べると雲泥の差になっていますし、車内サービス・アコモデーションについても欧州の高速鉄道から学ぶものがずいぶんあると思います。またカード登録しないと使えなかったり、各社ごとに分かれていて使いづらいことこの上ないインターネットを使った予約システムしかり、日本人以外を一切無視したような作りになっており、今では他では信じられないレベルです。タイ国鉄でも英語で列車の予約がWEBで出来るようになっているのですが、このままだとJRは他の交通手段との差が開く一方だと思いますが、いかがでしょうか。



以前、交通博物館の特別展で展示されていたR2Aを見ることが出来ました。現在ではあのパーラーカーの座席として完全に伝説になっているフシのR2Aもこのような形で出会えたのは嬉しい限りです。座面スライド機能まで搭載されていたのは驚きです。エジプト柄の異質ともいえるモケットが美しいですね。
最近こうした昔の一等車のような設備を要した車両として外観がひどいですがE5系はやぶさグランクラスとして久しぶりにアッパーグリーン車のサービスが始まりましたので、今後に期待したいと思います。
ちなみにこうした一等車に関係する車両としては皇室使用の特別車クロ157-1が品川にまだ現存しているので、将来的には展示していただき、見てみたいものですね。最近はE655がありますので、除籍になるのも近いのではと思っておりますが、どうでしょうかね。






貨物列車展示はとっても良かったです。普段近くで見ることが出来ない貨車類をじっくりと観察することが出来てこれはいい展示だと思いました。
昔の冷凍車(氷とかドライアイスで冷やすタイプ)も下関から東京に輸送されるふぐという設定で情景展示されていて面白い。




子供時代の憬れの機関車EF66もぴっかぴかな状態で展示されてます。Fですので6軸。非常に巨大に感じます。



ED75も。あけぼののヘッドマーク、デザイン、色調ともになかなかいいですね。でもこれは殆ど現役な気がしますけど・・・博物館入りするのはまだ早い?!でも最近では廃車多く、もう博物館入りということなんでしょうね。






新幹線展示。先頭車両のカットモデルは交通博物館から移管のもの。うっすらと交通博物館の最後の時のペイントが残っております。
初代0系については車両中央部に非常口があったことが発見でした。



本当にたくさんの車両が展示されていて、車両好きには堪らないのかな、と。