6月の道北バカ旅

毎年一回必ず行くことにしているある友人「教授」との旅。今年は北海道。
この旅を始めて今年で10年目という事もあり、今までで最も遠いところでいつもの旅をしてくることが出来ました。
今回は「教授」も開発を担当したSUBARU BRZを借り、帯広から道北、そして天売島を巡ってきました。



朝7時50分くらいのJALで9時半には北の大地に到着!ちなみに「教授」は群馬県太田市を朝4時に出発して羽田に来てくれました。
というわけで今回は北海道道東の最高にいい感じに街がまとまっていると思う「マイフェイバリット街・帯広」からスタート。ただし街はさらっとスルーです。この日は道北、幌加内町にある朱鞠内湖を目指します。



トヨタ86と同型となるSUBARU BRZ富士重工の誇る水平対向4気筒エンジンのおかげで重心が下がり、ドライビングポジションは一般的なスポーツカーに比べてさらに低くなっています。このおかげでカーブを曲がる時の安心感が異次元のレベルで運転が大変楽しい車でした。このとおりステアリングはしっかりしてて必要十分。



なお車内はそれなりに静寂で、廻せば多少聞こえてくるな、というレベル。サスペンションもそれほどギチギチにしているわけではなかったのでだいぶ乗りやすいセッティングなんだと感じました。MTは出払っていたので借りたのはATです。アイシン製の6速ATなので変速は早く、シフトダウンすると回転数を合わせてくれるのでパドルシフトでも結構楽しめます。



ただ!こちらの写真を見ていただければ分かるとおり、内装が今時こんなかよ!っていうくらいの簡素なものなのです。もちろん受け入れられないレベルではなく、この価格で走りの方がこれだけきっちりした車なのだから内装にしわ寄せが来るのは仕方が無いな、というものです。重要なシートなどは素材こそ安っぽいですが、座り心地は窮屈すぎず、コンフォートすぎず、この車のメインユーザーにとって適度なシートの設定だと思います。でももう少し質感を何とかしてくれた設定があってもいいなあと思います。これだと内装では気分は盛り上がらない・・・


一番安っぽいのはハザードボタン。ここはもうちょい何とかして欲しかった〜。完全におもちゃ風です。



帯広空港を出て最初に向かったのはナイタイ高原牧場。公共牧場としては日本一広い、総面積約1,700haの牧場で、日本とは思えない広さの中を駆け抜けます。こちら、牧場内なのに素晴らしいワインディングロードとなってます。



お昼ご飯は豚丼。ここのレストハウスは焼き肉も出来るようになっているので時間があれば焼き肉をオススメします!隣で焼いてて美味そうだった〜



第三音更川橋梁。旧士幌線廃線跡として現在にその姿を留める橋。今となってはなぜこんなところに線路が?というような過疎地域に線路がひかれていた士幌線。色々あって、この区間は結構残っているので、今でも見ることが出来るのは嬉しい限り。



ちょうど線路と平行するように国道273号線が走っているので三国峠を越える前にそっと立ち寄るには最適な場所だと思います。



幌加駅付近は雰囲気がだいぶ残っておりなんとも素敵です。





この士幌線の遺構の中で最も有名かつ幻想的なのがこちらのタウシュベツ橋梁。元々タウシュベツ川を越えるためにかかっていた橋梁がダム湖建設に伴って放置され、今ではダムの水位の上下により現れたり消えたりする橋となっております。今回は時間の関係で対岸からの観察になりましたが、運良く見ることが出来感激です。もっと水位の少ない時は美しいアーチが連なっている様を見ることが出来るようです。



幌加駅付近にて。かなり低重心なのが分かると思います。



幌加駅周辺には藤の花のような色が特徴のルピナスが咲き乱れています。幌加駅の朽ちた風景と対照的に力強く美しい花を咲かせるその様はとても興味深いのですが、北米原産のれっきとした移入植物ですね。この移入種問題、ルピナスのような園芸植物では珍しいかもしれませんが、野生動物では多くの事例があり、問題を引き起こしています。ただ、宇宙単位で見た場合、人間の活動もただの生物の一つに過ぎないわけで、どこに終着点を置くのかを見極めないといけないですね。



幌加駅の遺構。ポイントやプラットホームも残っていて、ポイントはなんとか切り替え可能でした。



今となっては何でここに駅があったのか分からないようなところにありますが、昭和29年の洞爺丸台風で倒れた木を処理するために街が作られ、賑わっていたとのことです。



今ではその賑わいの影も形も残っていませんが、往時を偲ぶことが出来ます。



ここで感じたのはこんな秘境のようなところにある駅なのに今でもきちんと保存され、雑草などが刈り取られており、人々から大切にされているということ。今廃線跡歩きなどの考古学的鉄道趣味がずいぶんと日の当たるところに出てきましたが、その先駆けといってもいいでしょう。これからも未来にかつての輝きを伝えていって欲しいものです。



BRZはここから三国峠を越えます。正直言って北海道の中でもこの峠が一番凄くないですか?複雑かつ有機的な松見橋を上から見下ろすと色々と考えさせられます。
周りには見渡す限り人家などもなく、自然が広がっている中を一本の道路が通っています。鉄道では超えられなかった三国峠をトンネルが貫き、通年走行可能になっているのはまさに偉業というほか無いと思います。


今年、タイスタッフが北海道に行っていたのですが、写真を見せて貰ったらトンネルの写真がたくさんありました。何でトンネル?と聞いてみると「タイにはトンネルがない」から。「長さも1km以上あったりして本当に日本人が山を直線で貫こうとする意志と技術は凄い」といっていました。


確かに、鉄道では北線にタイ最長のクンターン・トンネル(それでも1.3km)がある以外はそれほど聞いたことがないですし、道路では山を貫くトンネルに遭遇したことはありません。


そんなことを考えるとここに道路を通し、さらに厳しい冬でも走行可能にしようとした先人達に敬意を払いたくなります。



高速道路規格となる旭川愛別道路にてBRZの安定した走行を楽しみ、比布駅へ。今回の旅でたくさん訪れた宗谷本線の駅のひとつです。



以前、ピップエレキバンのCMが撮影されたこともあり、当時は観光客で結構賑わっていたようです。



待合室は趣のある感じですが、駅舎は見たようにあんな色になってます。というのも比布町の名産はイチゴ。駅舎の色もイチゴ色にしたのでしょう。



ぴっぷ。


なんとも気の抜けた響きに誘われて訪れましたが、期待通りのいい駅でした。



快速「なよろ」も停車する駅です。



駅前はだいぶ閑散としており、北海道の駅を感じさせます。



ただ、少し歩いただけで煉瓦造りの重厚な建物がいくつも残り未だに使用されているのを見ることが出来ます。
ここはハイヤーの車庫として使われているようでした。



そんなに身を乗り出して大丈夫か?!



街がやたらと三角なのも特徴です。



和寒駅訪問。



宗谷本線の駅としては特急も止まる大きな駅です。



本日のお宿は朱鞠内湖にあるそばの宿。森の近くにポツンと立つモダンな建物に驚かされます。
周りには何も無く、静寂の宿です。もちろんテレビはありません。


あとEmobileのポケットWifiを今回持って行ったのですが、旅行中、行くところ行くところ人があまり居ないところなのでほとんど圏外で御座いました・・・



10年前にこちらでそばを使った料理を出す宿としてスタートしたこちらのお宿が手打ち蕎麦の宿 『朱鞠内湖そばの花』。
ご夫婦2人で切り盛りしているため、1日3組限定ながら隅々まで行き届いた心配りに感動。



ホタテのでかさに北海道に帰ってきたことを実感しました。5年ものだそうです。




そば料理は普通のそばはもちろん、つみれや豆腐にそばを使ったものなど普段食べられないようなものがたくさんで非常に面白かったです。朱鞠内湖の周辺ではそば栽培が有名ではないものの大変盛んだそうです。



ここ朱鞠内湖は北海道で一番寒いといわれており、寒い日はマイナス30度に行く日があるため、夜には木が割れる音が聞こえるそうです。



夜は主と一緒に主自らがこしらえた果実酒を一緒に頂く時間があり、これがまた得がたい落ち着いた時間でした。静寂が貴重になっている現代でモダンな建物でゆったりした気分でそれが味わえることに喜びを感じます。
明日は更に北を目指します。