山梨文化会館
山梨文化会館 丹下健三 1966
甲府駅前にそびえ立つビルだけど、その名称の持つ公共施設っぽさとは裏腹に山梨日日新聞、山梨放送など山日YBSグループの牙城です。テレビ、ラジオ、新聞とメディア系企業が集まっています。
円柱をベースに直方体が組み合わさって出来ているので、同じ丹下健三の静岡新聞社東京支社を思い起こす方もいるかもしれません。
こちらは規模がより大きく、円柱は16本。1本しかない静岡新聞のなんと16倍である!
装飾もほぼコンクリートだけで仕上げられています。
電通ビルと同じく、コンクリートだけでなんとかしてやろうじゃないっていう意思を凄く感じます。
こんな通気口みたいなモノもキッチリとコンクリートで作り込まれているのが特徴。こうしてみるとこの時期の丹下健三はどの建築にも作家性が強く現れています。
こちら、縦樋なのか、下のは排水ますなのか分からないのですが、こうしたものにまでコンクリート一本で何とかデザインしている力強さを感じます。
このビルは遠くからみると割と普通のビルに見えなくもないのですが、近づいてみると、あ、丹下っぽい!という発見が色んなところで出来る仕組みになっていると思います。
職人さんはさぞ大変だったろうな、という叩きの処理。
こちら、作った後に必要だったら増築減築できる設計でいわゆるメタボリズム建築です。黒川紀章のカプセルタワービルのように残念ながら一度もカプセルの交換が行われていないものと比較するとこちらは実際に2度も増築されているため、うまくいった希有な建築です。
頑丈そうな作りでもありますし、かなり大事にされている建築であることはひしひしと感じられました。