日本沈没の「日本」は「ニホン」です。


21世紀版の「日本沈没」観てきました。前作は小松左京の原作に割と忠実で、日本が沈没するというバカみたいな災害を第三者の視点で科学的にもなんとか説得力を持たせた形で描いていた映画。時代背景的に高度成長した日本への反動や沈没後民族としてどう生きていくのかとか色んな示唆が含まれていて私も大好きな映画の一つなのですが、今回のは話が全然、全く、根底から違うんですよ。。。これ、73年版の日本沈没が真面目なSF映画とすると今回のは特撮ネタSF映画です。例えるなら前作が「デイアフタートゥモロー」の災害なすすべなし型とするばらば、今作は「アルマゲドン」など多くある自然災害対抗勝利(犠牲アリ)型。


個人的には突っ込み甲斐が多くて良かったですが、前作が大好きな人や、原作を知っている人によってはなんじゃこりゃと思うこともあるかもしれません。そして正当な評価としては映画的に水準作になっていない・・・、けど薄いながらも原作のテーマと監督の遊びで楽しめる、という感じ。すすめづらいな。


というわけで一切劇中に登場せず「この地方にまだ被害はない」と思われる沖縄から内容に多少触れつつ紹介していきます。


以下反転させて見てください。


まず「日本沈没、せず!」日本が完全には沈まない!沈没を食い止める!災害になんとかして立ち向かっていく前向き姿勢。これが最大のちがいでしょう。早々と「日本が沈没するからといって何もしない方が良いのではないか」という、いわば前作の代表キャラである山本総理が死んでしまう。というか映画的に強引な形で(まあ火山の噴煙に関していえば飛行機にとっては脅威なんですが)「殺した」以降はこの未曾有の災害になんとかして立ち向かう東宝特撮映画になってました。前作では困難を極めた国外避難に関してはあっけないほどスムーズだったり災害の描き方に俯瞰が多かったり、生々感がない。


までも最終的にプレートを爆薬で破壊するという現実的にはありえない設定だけど監督のやりたいようにやっている感じがとても好感触。だから絶対真面目に観てはいけません。人間ドラマ部分はまあ、なんとも・・・という出来。もはや大作だと恋愛入れないとダメだからね。


そのほか、阪神大震災後の映画ということで各所に配慮が見受けられるのは納得。あと「ガメラ」シリーズで多用された日常枠内での非日常感の演出はこの映画に最適。おなじみのテレビニュースの中で常時災害テロップが流されている場面などにまわりの人、皆、びくびく。


なんにしても日本が沈没するというテーマは偉大。こういうやり方もあり?不満もあるけど、沈没時を想像する恐怖と単純にバカ映画を楽しむ感覚の半々で観られる良い映画。真面目に見ると激怒。監督のやりたいようにやったバカ映画としてみれば評価は上々。

個人的にオオッ!と思った箇所。
JAMSTEC大活躍。掘削船「ちきゅう」を何度も大スクリーンで観られる!かっちょいい!
自衛隊大活躍。LCACやC1が全面協力。さすが、監督やりたい放題!
・CGパートなど特殊撮影は素晴らしい。使い方の流れが悪いのでもったいない。
 火山灰の演出や津波シーンなど、日本のCG特撮もついに独自の色を持ったなという印象。
・監督自身が関わったアニメからの引用多し。やり過ぎな感も。
・PCが田所博士にぶっ壊されるモノ以外全部Mac豊川悦司ははまり役。
・オペレータ役で明和電機の社長が出るなど細かいネタ多し。笑いこらえるの必死。


沈没っぽい写真が無いので、阿嘉島写真。見えているのはフェリーざまみ。乗り物好きなら高速艇のクイーンざまみをおすすめします。