短波で国際。



幼少の頃からラジオが好きだった。小6のころからAM、FM問わずいつでも聴いていた記憶がある。一番最初に聴き始めたのは土曜日の深夜にFM YOKOHAMA(当時はハマラジという名称だった)でやっていたゴンザレス鈴木の「JAZZY NIGHT」。午前1時から午前3時くらいだったろうか、家中が寝静まった中で、当時全く知らなかったJAZZを聴くという体験が子供心には非常にカッコイイものに思えていたわけだ。そのあとで我が人生に影響を与え続けているのもラジオからというものが多い。


この土曜日のほぼ同じ時間帯にはもう一つ大きな影響を受けた番組がある。ゲームクリエイター飯野賢治氏が毎週ゲストと対談する番組「ナイトワープ」。ここで初めて知る人との出会いがその後の考え方の広がりに如何に繋がったかは計り知れないと思う。放送していたのは今から10年前の2年間くらいだったように思うけど、今でも伊集院氏のラジオと共に考えがブレた時に軌道修正するための自分の中の水準器的なものになっている。超忙しかったセガの入交社長と話したいからとニューヨークまで行く飛行機の隣の席にわざわざ乗ってゆっくり話したというエピソードを良く覚えている。


てなわけでラジオの世界というのは意外と広く、抑制がとれているから子供がネットの世界に飛び出すよりもまずはラジオを勧めたいものだ。


このような体験は得てして新しいハードを手にしたことがきっかけになることが多い。ラジオは値段が安いので子供でも容易に買うことが出来る。私は母が持っていたSONY製のデジタルで周波数を表示してTV音声も聴くことが出来る当時としては非常に高機能なものを拝借して使っていた。なんとAMステレオにも対応していた。


テレビよりもラジオが好きなラジオっ子というのは私の年代にも、とても多い。テレビという巨大なメディアに対して、ラジオはその大きさがちょうど良く、参加する意識を持てるのが特徴だと思う。またテレビは案外能動的にみるものだが、ラジオは受動的に聴き、ときおり能動的にも聴くことが出来る。


そんなわけでタイで生活していて、ふとラジオが恋しくて聴きたいと思ったわけだ。


タイで日本語放送を聞くのは短波放送を受信しないといけないので、ワイドバンドレシーバーを購入。日本語の放送はNHKラジオ日本というのが一番聞きやすい。周波数表で放送時間を調べ、アジア向けの周波数11815khzにあわせ、いざ聞いてみる。そうすると音量の増減が激しいものの聞き慣れたNHKラジオ第一の放送のサイマル放送が流れてきた。これで大好きなラジオ深夜便もぶつ切りながら、聞くことが出来るようになった。


今はインターネットや国際衛星放送の発達で異国の地でも自国語でリアルタイムに情報に触れられるけれど、以前はこの方法しかなかったと思うと感慨深い。異国の地で聞く「昼のいこい」はしみますね。