泊村の鰊御殿(にしんごてん)


先週水曜日の面接ついでに観光シリーズのつづき。最初は帯広に行こうと思っていたんですが、先方の都合がつかなかったため急遽積丹半島方面に行ってみました。


積丹半島は札幌の北西にあるぽっこりした半島でウニの名産地です。そして鰊(ニシン)。春告魚とも書きます。この鰊、北海道では春の一大産業として明治時代以降もの凄い盛り上がりを見せていました。食べる方だけではなく肥料としての鰊の利用が盛んで全国から人が集まり、儲けまくった親方のために鰊御殿と呼ばれる豪勢な住宅が建てられました。


しかし、穫りすぎたのか魚の気まぐれかだんだんとれなくなり1955年以降はさっぱり。いまでは少し回復しているようですが・・・


私にとってこのような「昔はこれでもかと繁栄していたけど、今はただ風が吹くだけ」の象徴である鰊は興味の尽きない事例であります。特にその栄華の象徴の「鰊御殿」にはことさら胸が熱くなるのです。


写真は鰊御殿の漁夫だまりにて「最近鰊とれねーっすねー」という若い衆(なぜか商社面接帰り)と無言の(心中苦しい)チーフ。



というわけで積丹半島西側の泊村の鰊御殿へやってきました。ここは旧川村家番屋(明治27年築)と贅をこらした旧武井邸客殿の2棟が保存されている資料館です。今では手に入らないだろうと思われるもの凄く太い柱、そこら中に見られる細かい造形などは見るものを圧倒する存在感があります。


写真はそんな旧武井邸客殿で商談中の親方(向こう側)と大阪の肥料会社買い付け担当。親方の持ってるそろばんのでかさが最高でした。


ちなみにこの武井さん、やたらと事業拡大して農業、山林、貸倉庫、製氷、鉱山、さらには樺太で操業、なんと当地で遊園地までやったそうです。この樺太での遊園地、いまはどうなっているのでしょうか?


調べたら往時の写真が出てきました。
樺太写真帖 大泊 (一番下の方)
http://kam-r.sub.jp/ainu/syaoo.html



さて、昔栄華を誇った鰊御殿もいまは北海道唯一の原子力発電所がその任を受け継いでいるようです。原子力御殿と呼べるような建築が泊村では多く見受けられます。スケートリンクや無料のプールなど。北海道で唯一地方交付税を受け取っていない市町村でもあるそうです。北海道の電気の3割はココで生まれているからね。


現在2機のPWRが稼働中。そして3号機の建設が大詰めを迎えています。


写真は他の原発のPR館の規模に比べると非常にこじんまりした原子力PR館「とまりん館」。沖縄の泊港の愛称と同じです・・・。ちなみに発電所自体は山に囲まれた位置に建設されているので一般人はその姿を見ることは出来ません。


ほくでん:原子力情報