2007年振り返り


毎年恒例というわけではないけれど、今年もやってみまーす。まずは映画部門


去年はすごく映画が見やすい沖縄に居たせいもあって毎週のように見に行ってました。DVDもよく見た記憶があります。今年は勤めだした影響でそこまでは見ておりませんと思いきや結構見てますわ。


日本映画部門
山下敦弘監督「天然コケッコー


これはなにしろ監督の温度コントロールの勝利だね。つげ義春原作の「リアリズムの宿」の時はへたな監督だなあーと思っていたけれど、「リンダリンダリンダ」であ、こういう題材だと輝くのか!と思い、今回の「天然コケッコー」。
盛り上がりのない話をこの監督は気持ちよく綺麗に撮っていくんだよね。主役の夏帆の演技やロケーションの島根、音楽のrei harakamiくるり、など盛り上がらなくていい話をちゃーんと盛り上げないベストな布陣でした。これらが気持ちよくパチッっとはまって、極上のさわやかな気持ちと懐かしさを感じるものになってます。景色の気持ちよさは岩井俊二監督「リリィシュシュのすべて」を超えているかもしれぬ。


海外映画部門
マイケルムーア監督「シッコ」


あまりにもギャグで面白かったダイハード4.0にしようかと思ったんだけどこちら。こりゃあ傑作ですわ。華氏911は全然だったけど、この人は映画作るのうまいですね〜

 お話はアメリカの医療保険制度についてなんだけど、アメリカはヤバイ。彼国には国による医療保険がないのでみなさんだいたい民間保険に加入するんだけど、やたら厳しー。そして高い。そのことについてもまあ驚きなんだけど、なんでそうなっちゃったのか、他はどうなの?を、他国と比較して見せる下りがホントうまい。必ず普段我々が享受してる健康保険をありがたく思うはず。

映画自体はアメリカ人向けなんだけど、そういう変な国(アメリカ)がフランスやキューバのようにめちゃいい他の国を見て自分の国は?ってことを考えることが出来る良い映画です。なにしろ脚本が面白いしね。脚本の組み立て方のお手本のような映画。


DVDで見たよ部門
ジョゼと虎と魚たち」と「ブルークリスマスこれも悩んだ。ので、二つ。


犬童一心監督「ジョゼと虎と魚たち。ちょっと前の邦画。メゾンドヒミコと似ているなあと思ったら同じ監督、同じ渡辺あや脚本。この脚本家は才能あるね。上の「天然コケッコー」も渡辺あや脚本なのよね。これは、良くできた映画だった。男と女で鑑賞後は言い争いになること必死!男からすると、ああ、リアルだなあ、映画なのに・・・女からすると、なんでやねーん!!!でしょう。

妻夫木聡の普通さ、大学生役はホント気持ちよくはまる。池脇千鶴、やっぱりああいう役はうまいなあ。上野樹里、すっごく嫌な役どころなんだけど嫌な役をきちんと嫌さを多少だしながらがんばってる。
脚本、大阪、キャラクター、どれもいい水準のバランス作。特にキャラクターが女性作家の原作モノだからいい(←なんかそんな気しない?)。朝のシーンやロードムービー部分は嫌み無く上品。音楽もよい。


岡本喜八監督「ブルークリスマス。これは今年見た中で一番ダークに怖かった。

いままで岡本喜八監督ものはみていなかったんだけど、こりゃすごい。話は世界各地でUFOが出現!・・・はい、ここで、「は?!そんなSF映画?」と思った方、違うんですよ。宇宙人とか特撮とかは一切出てこない。UFOを見た人は血が青くなるという変化が起きるんです。で、その変化した人に対して世界各国はどうするのか?これがもの凄くこわいんです。ありえそうで。スケール感も非常にあるし、外人俳優もまとも。音楽は、そう、日本のジョン・ウイリアムス(?)佐藤勝です。

ちょっとダレル部分もあるけど、脚本と設定がミステリアスですごく怖さが伝わる。ニューヨークロケも素晴らしい。これはせっかくなのでクリスマスにぜひ。カラーを最大限に生かした演出とクールな画面から反権力の熱が伝わってきます。
今までそれほど好きではなかった仲代達也がやっと好きになれた一本。岡本喜八監督は「殺人狂時代」も良かった。


写真は天然コケッコーをイメージして。群馬県の小学校。

天然コケッコー [DVD]

天然コケッコー [DVD]

[rakuten:book:11694808:detail]
ブルークリスマス [DVD]

ブルークリスマス [DVD]