TAMA ZOO1〜動物園は映画に似ている〜


 この日は天気が一年で一番良いんじゃないかというくらい良かったので動物園へ。多摩動物公園です。動物園と関連性のある研究をしているのに、ここにはなぜだか行ったことがなかったのです。行って開眼。相当いいじゃないですか。多摩動物公園。少なくとも自分のなかのある部分にポカッと入ってきた。


 その一つは、GW初日ということも大きいんですが「日本にはこんなに子供がいたのか!?」というほど、家族連れで混んでいること。こんだけ子供たくさんいて笑っていて活気のある動物園ってそれだけで存在そのものが素敵に感じました。


そもそも最近の動物園は
(1)自然保護の場
……希少な野生動物の保護と繁殖を行う
(2)調査研究の場
……動物の生態や繁殖、動物園の諸活動に関する調査・研究を行う
(3)社会教育の場
……動物や自然環境について、関心を持つきっかけを社会に提供する
(4)レクリエーションの場
……余暇をリラックスして楽しく過ごしていただく場を提供する
      (横浜市環境創造局環境整備課・動物園の歴史と役割より引用)


という4つの機能に代表されるように非常に範囲の広い社会的なインフラを担ってます。しかしこの順序でも暗に表されているように子供を中心としたライトユーザーがまず初めの段階で動物園に求めるものと実際やっているかは別にして動物園内部での対外的な(?)意気込み、考え方の重点が少し離れているように感じることがあったりしたことがあります。


それをふまえていうと、本来日本における動物園の立ち位置って欧米と出発点が違うのでまずは「笑顔」「活気」ありきに捉えるのが一番スマートじゃないだろうか? で、その先に考えさせられるテーマなりメッセージがあって話が完結したり発展するような、より深い「動物園体験」が出来るのが、動物園がキライだった私なりの理想だったりします。


その構造って娯楽の代表ともいうべき映画のようななんでもありの総合芸術にとても似ているように感じるのです。例えば映画「皇帝ペンギン」は圧倒的なかわいさの赤ちゃんペンギンに代表されるように間口はとても広いけれど、その奥には家族愛だったり自然賛歌だったりまあいろいろと考えさせられるテーマみたいなものがありますよね。そういう構造って作り方(製作)も見せ方(演出)も含めて似ていて、考えたら楽しいだろうなあと思うのです。(映画が好きってのもありますけど)


というわけで、少しばかりこのTAMA ZOOをモデルに動物園を映画館に見立てて、グッドな動物園のあり方をさらりと考えてみるというのが今回のシリーズです。まあガチャガチャ言ってもやっぱり面白いんですよ。いろんな意味で動物園って。そこらへんも伝わればなと思います。



今回の写真はアバンタイトルとして「オランウータン・スカイウォーク・パノラマ」。
150mにもおよぶオランウータンの空中回廊の奥行きと高低を感じてください。180度のパノラマなのでちょっと分かりづらいですが、回廊はほぼ直線です。左が飼育施設で右側に向かってオランウータンは空中を器用に移動していきます。ここは坂になっている元からの地形も活かして「この先にあるものはなんなのか?」という期待の演出が出来ております。ちなみに下はビオトープになっていて小道具による意味づけも凝っております。