食を扱ったドキュメンタリー


 12月23日から各方面で話題の「ダーウィンの悪夢」という映画が日本でも公開されます。3月にBS世界のドキュメンタリー枠で放送されたので観たことのある方もいるかもしれません。私もちょうど観たのですが、ステレオタイプな視点で食を扱ったドキュメンタリーであってそれほど強烈な感慨を持たなかったのです。が、どうやら海外ではバカ受けらしく、ちょと温度差を感じます。ま、でも知っておいた方が良いことではあると思います。


 さてこのドキュメンタリー、お話はアフリカ最大の湖、タンザニアヴィクトリア湖周辺(琵琶湖の10倍)で穫れるナイルパーチという外来魚の引き起こす実態を描いたもの。もともとこの魚はココには棲んでいなかったんですが、かなり儲かる魚なので、導入して大成功。沿岸の方々はこの魚でかなり潤ったそうです。
でも在来種は激減、ナイルパーチは高いので地元の人は食べられず所得格差が拡大、おまけに潤ったもんだから武器までやって来てどんどん悲惨に。という内容。内容が実態とかけ離れているとのことでタンザニアから抗議されたりもしているようですが。


ちなみにこのナイルパーチはスズキに似ているので、白身魚のフライなんかで知らずに食べたことのある人も多いはず。まさに「わかっちゃいるけどやめられない」の事例ですな。それをよしとするか同じ現実を受け入れるのか、人それぞれ。


ダーウィンの悪夢」公式サイト
http://www.darwin-movie.jp/


もう一本は「Our daily bread」。


 日本公開は未定ですが、こちらも食を扱ったドキュメンタリーです。予告編を観ていただければ分かるのですが、固定視点で食品産業の(ぱっと見、薄気味悪いと見える)風景を切り取ったもの。でも映像はとても奇麗。こういうの、何を今更という気もするけど、ブループラネットやWATARIDORIで自然讃歌した後は人間批判という流れ、今来ているんでしょうね。どちらもオーストリア(あ、オーストリーと呼んでほしいらしいけど)の監督。知ることは良いことだと思いますけど、メディアの影響というのは大きいですから、自然=善、人間=悪という考え方に単一化してしまいそうで、この流れ、ちょっと怖いです。


Our daily bread 公式サイト
http://www.unsertaeglichbrot.at/jart/projects/utb/website.jart?rel=en&reserve-mode=&content-id=1130864824946