カールじいさんの空飛ぶ家


ピクサーの新作。日本でも予告編が流れ始めたようです。実をいうとタイでは6月くらいに公開されておりまして、すでに見て来ましたのでほぼネタバレない範囲で紹介。


この「カールじいさんの空飛ぶ家」は久々の、という感じがもう全くしないピクサーの新作。去年のウォーリーもとっても良かったですが、個人的にはこちらの空飛ぶ家を推したい。


お話はカールじいさんが子供のころ、冒険に憧れ、ふとしたことから同じ夢を持つ女性と出会い、南米のある滝ヘ向けて一緒に冒険の旅に出る事を目標に結婚するところから始まります。が!ここがこの映画の最大の見せ場であり、私がもっとも感動したシーン。結婚からいろいろあって、おじいさんが齢75歳(?)で冒険に出るのを決意するまでの時間にして5分に満たないくらいの人生をギュぎゅっとつめた無台詞、音楽のみのシーンなのですが、非常に良い!台詞が全くないのにすべてが理解できて、カールじいさんと奥さんの楽しい生活の様子、冒険になかなか行けない苦悩や二人の老後のことを考えるととても切なくなる。それを5分にも満たない時間で表現する。特に、奥さんが不妊治療するも妊娠出来ないとわかった時のカールじいさんの演出。完泣。ピクサーCGアニメーション演出ここに極まれり・・・と感じました。ここだけでも観る価値あったな、と思います。ここは子どもにはわからない、大人向けのシーン。


中盤以降はちょっと子供向けすぎる、どうかと思う展開がいくつかあるんですが、主人公のおじいさんの絶対成し遂げるという志と、亡き妻ヘの愛情(家への愛情)とそれからの脱却などがとてもうまく表現されているシーンがいくつかあって大人感涙。最後まで大人も子供もホクホクと乗り切れると思います。なぜかしゃべる動物達はみんなかわいいし。全く外しません。そして今回のピクサーの技術テーマは空飛ぶ家に付けられている風船ももちろんなのですが、それよりも雲や空というものへの表現の挑戦や布の質感の表現などに力を注いでいると感じました。特に布の表現はカールじいさんのネクタイをころころ替えるシーン等で触りたくなるような質感で驚かされますし雲の表現についてはカールじいさん本編の前に流れるピクサーの短編アニメ(これも5分くらいなのに泣かせる・・・)でもバッチリと使われており、そのフワフワ感を楽しむことが出来ます。


日本では12月公開と大分先ですが、かなりおすすめです。