ハリウッド版ゴジラ見てきました


ハリウッド版第2作目となるゴジラを見てきました。
結論から言うと、これは大画面で見ないと絶対ダメなタイプの映画。
テレビサイズで見てしまうと恐らくツマラナイと感じてしまうと思います。


まず1作目のローランドエメリッヒ版のゴジラについて、評判はとにかく悪く、これはゴジラじゃ無いということで完全に評価は定着しているけど、個人的にSF映画としては結構好きな部類。音楽も意外といい。でも名前がゴジラだったから相当に損をしているし、確かにゴジラじゃあ無い。


では今回のゴジラはどうか。ゴジラ映画の持つゴジラの立ち位置をきちんと抑え、かつ怪獣映画としてのスケール感を拡大させた本当の意味でのハリウッド版ゴジラという印象を持ちました。非常にゴジラ映画らしいゴジラで、そこのところは良かったものの、人によってはアラが粗すぎて完全にはノレないかもしれませんが・・・


ネタバレがイヤな方はとりあえずワタシがこちらの予告編から勝手に妄想したゴジラストーリーを・・・



1954年、アメリカの水爆実験により生み出された水爆怪獣ゴジラ。東京に上陸し火の海するも芹沢博士の命を賭したオキシジェンデストロイヤーの効果により辛くもゴジラを封じ込めることに成功する。


東北地方を襲った東日本大震災から数年。駿河湾近郊でM8.2の大地震が発生し、沿岸部に津波が襲いかかる。津波御前崎中部電力浜岡原子力発電所にもすぐに到達し防波堤を乗り越えた津波は5号機原子炉建屋に流れ込み再び全電力喪失原子炉溶融の危機が訪れる。ロスアラモスからABWRを使った核種変換共同研究のため日立に派遣されていたアメリカ人研究者のとっさの緊急時原子炉隔離冷却(RCIC)操作は間に合わず炉心近くで作業を行っていたためRCIC操作を任された技術者の妻は操作により発生した大量の蒸気により逃げ遅れて死んでしまう。周囲100kmの全住民に避難命令が出される中、炉心は溶融し周辺海域に核種変換された放射性物質が大量に流出してしまう。


その中には1954年に採取されたゴジラの皮膚から分離された核種も含まれていた。さらに地震により活発化した地層の中で自身を構成していた大量の放射性物質を吸収しゴジラが復活してしまう。
ただちに第七艦隊による攻撃が行われるが旗艦である原子力空母ジョージワシントンごと破壊し、なぜか西海岸へ向かうゴジラ
その頃ロスアラモスでは核種変換により全ての核兵器を無力化する兵器が作られていた・・・ゴジラへの使用は有効との判断が成されたが、質量から考えると世界中の核兵器から使用する核種を集めなくてはならない。すぐに世界中から核兵器を集める作戦が始まるが、ゴジラへの使用は核兵器の廃棄と同義であるため、使用をためらうアメリカ政府。西海岸に近づくゴジラ。妻を亡くした研究者の頑張りが色々あって核種変換兵器は完成し、研究者の息子が兵器を持ってゴジラへHALO降下で向かう。


人類の命運は今1人の男に託された!


と、まあ自分で書いてて呆れてしまいますが、こんな感じを予想してました。文中にもあるとおり、ゴジラが西海岸に向かう理由がもの凄く乏しいことと日本からやたら遠いのがどう処理すれば良いのか大変だなあと。どんな風に処理したのか、意外な方法でした。ではネタバレしていきます。










ATTENTION!!
ここから"若干"ストーリーのネタバレします。まだ見ていない人は読まない方が良い気がします。
ATTENTION!!


というわけで西海岸まで引っ張っていける対戦モノにしたのですね。しかもいきなり飛べるムトーという名の怪獣を出してきました。これは予想外でした。今後の武藤さんが心配です。まあそれはさておいて、あらを探そうと思えば非常にアラが多いのも怪獣映画の特徴。割とこのアラを上手く料理しているのが平成ガメラシリーズで、私も当然大好きなのだけど、今回のゴジラはアラを受け入れて欲しいというくらい雑な部分が多いのです。


個人的にはアラの少ない革命的な怪獣映画を期待していたので、(クローバーフィールドとかね)そこまでいってないのが残念であり、個人的に好きな怪獣映画かといわれれば違う、といわざるを得ないかもしれません。けれども、この映画の本質はそこではなくゴジラという日本のスターがそのスター性(超強い、人間の兵器殆ど役に立たない、動き遅い、デカイ、口から光線吐く)を確保したままスケールアップして全世界で受け入れさせることに成功しているところにあると思います。


とにかく最後のムトーさんとの戦いでの圧倒的な存在感、質感、でかさ、そういう所の表現において間違いなくいままでのゴジラ映画を越えてて、特に吠えるシーンではなぜか感動する。おそらくそれはまさに神にまでレベルアップしたゴジラのキャラクターそのものにあるのかなと。アメリカのスーパーヒーローが束になっても全然勝てそうもない感じ。


映画の中でゴジラについてムトーが自然のバランスを壊したとすればゴジラはそのバランスを取り戻す存在という台詞がある。これはまさにコミック版ナウシカにおけるオーマと同じ存在だ。オーマは『前文明が自分達では最早手に負えなくなった紛争を解決するために作り出した調停者、裁定者』とされているが、今回のゴジラはまさにこれに近い。


今回のゴジラがきちんとアメリカの水爆実験で誕生しているから人間が自らのテで作り出してしまった怪物というのも似ています。今までのゴジラ映画のなかでこのようなピュアなゴジラ像を描いているのは初代やファイナルでその傾向が強かったように感じるものの、これほどまででは無く、いやホントに、ゴジラの本質をプリミティブに理解して映画を作り上げたんだなあと感嘆しました。


ただ初代ゴジラの持つ傑作性はないのです。戦後9年、原爆が落とされ焼け野原の風景の記憶が残る中でビキニ環礁で第5福竜丸が被爆した中で現れた原子怪獣ゴジラ。既存兵器は効かず破壊の限りを尽くしたあと、芹沢博士の開発したオキシジェンデストロイヤーによって芹沢博士自らがいわば特攻して終わるというストーリーの凄さ。そういう壮絶なかっこいいストーリーは無い。原発の話ももっと膨らませられる余地はあったのに・・・もったいない!劇中では渡辺謙が広島への原爆の話をアメリカ海軍にするのですが、その程度。


でも、まあいいか。リメイクモノにぶつくさいうのが多い中、これだけピュアな形でゴジラを造形してくれたこと、これだけでも十分観る価値はあった!そしてあそこまでヒットするというのは凄い。


すでに続編制作決定したとのことですが、どのように続編作るのか、この形で行くとゴジラが超強いンで、人類が挑む形の方がアガるかもしれません。