2014年振り返り 驚く活躍 ジェーンスー


2014年、TBSラジオ好きとして最も驚かされたのは破竹の勢いといって良いでしょう、ジェーンスーさんの活躍。コレに尽きると思います。
そのスーさんを見いだした男と思われる橋本プロデューサーは天性の売れる匂いを嗅ぎ分けられる希有な人物でしょう。


折角なので一ファンとしてここ数年のスーさんヒストリーを振り返ってみます。


まずTBSラジオに初出演したのが2011年5月22日 高橋芳明のHAPPY SADでした。その時の圧倒的な喋れる力で続けて7月にも出演、さらにウィークエンドシャッフル9月17日のコスメ特集に出演、そして10月からのトップ5のレギュラー決定と怒濤の早さで駆け上っていきます。私が初めて聞いたのは9月のウィークエンドシャッフルでしたが、物事の芯を突く言葉に圧倒されたのを鮮明に覚えています。


5月のゲスト出演から10月の夜ワイド(しかも4時間!!!)レギュラー獲得というのは映画化できるようなラジオ界のシンデレラストーリーだと思います。


F1でいうと完全にミハエル・シューマッハ。91年のジョーダンでちょろっと出て92年はエースドライバーとしてベネトンでフル参戦そして天下取ったり、というスピード。まさにラジオ界の女Schumacher。しかも作詞家としても超一流。そこも大好きな理由の一つです。


まあF1の例えはどうでもいいんですけど、そのくらいの大抜擢、だったのだと思います。


その後、トップ5を3期務めながら各方面への浸透を続け、
2013年10月 書籍「私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな」発売
2013年1月 TV「10匹のコブタちゃん」出演
2014年4月 TBSラジオ初の冠番組「週末お悩み解消系ラジオ ジェーン・スー相談は踊る」開始
2014年7月書籍「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」発売
2014年11月「私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな」連続ドラマ化
2014年12月 AERAでの連載開始


2013年のTVへのレギュラー出演に関してはちょっと立ち位置が異なるキャラクターでの出演だったので残念でしたが、ラジオ出演がきっかけでここまで一気に多方面で花開いた方はここ最近居ないのではないでしょうか。(同じウィークエンドシャッフルでの特集がきっかけでメジャーデビューまでいった高野政所サンは私、昔からナードコア周辺で大好きだったのでちょっと違う)


兎に角、この書籍と相談ラジオの出来が素晴らしいです。
一言でいうと「色々な制約がある今の女性の生き方を違った解釈で前向きに肯定するところ」でしょうか。


今後も同世代の層の厚さもあってさらなる活躍が確実視されますが、注目していきたいなと思います。


では、以前に書いてた「私たちがプロポーズされないのは101の理由があってだな」の感想文をこちらに載せて、この項を締めたいと思います。


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ジェーンスー・「私たちがプロポーズされないのは101の理由があってだな」は新たな女子の生き方指南書


結婚しない独身女子がなぜ、我々は結婚できないのか、を自問自答する内容が101コ載っているんだけど、結婚しなくても独身ほど楽しいモノはないんじゃないか、という逆説をたたきつけてくる本です。


題名から来る自虐感覚と反対に、この本の主人公たる20〜30代の独身女性はまさに人生を謳歌している。都市で生活し、自由になるお金があり、社会的な立場も安定し、女友達にも囲まれ、男性との恋愛関係もあるが、ただ一つだけプロポーズされない、結婚できないという悩みを抱えながら生きている女性。


こうしたいわば一人立ちしている女性は現在の日本の中で大多数の存在であるとは思えないが、逆説的に一生独身を肯定するライフスタイルを提示したところに「これでやっていくんだ」という覚悟があるとともに若い女性にとっては一種の憧れを喚起させるのでは無いだろうか。
だって自分だってこんな生活を楽しんでみたいなと思うもの。


当事者にとっては切実、というよりも痛いところを突かれてしまって、ということになるかもしれないけど、外側から見ると、おお、なんか楽しそうだね、と感じられるところがまさにポストこじらせ女子時代のバイブルなのかもしれない。


女性が結婚しないことを肯定する意見は、今まで少なかったのでこうしてまとめるととても価値があるし、ライフスタイルとともに提示しているところが世の中のこうした層の女性の支持を受ける要因になっていると思う。


もちろん社会的には子供を産んだ方が継続的な社会になるとか、子供はやっぱり希望だよね、とか色々あると思うけど、成熟した社会であればこうしたライフスタイルを許容する余裕が出てくる。そもそも日本の人口、1億2千万人っていうのは多すぎる気がするから、こうした価値観もあるよ、ということを将来の独身予備軍に対して肯定的に提示したことは気分的にも社会的にもとても大きいことじゃないかと思う。


ただし、結婚しないで老後を生きられるのか、という問いに対しては未知数、となっている。
良く言われるだろう、独り身で老後はどうするの、と。その点については私個人的には楽観視している。独り身の人の方が一人で出来る楽しみも持っているし、ずーっと同じ境遇の友達もいるから案外楽しいんじゃないだろうか。男性ともある程度の距離で仲良い友達がいるだろうし。


そう考えると早くに結婚して子供も巣立ってしまって旦那に先立たれた女性に比べると老後の独り身状態でのハッピー具合は一定以上担保されているのでは無いだろうか。ある程度のお金は必要だろうけど。


結婚して子供を産む価値観は肯定した上で、新たな価値観を自然に提示しているところにこの本の価値がある。
まさに一部の女性を結婚、出産という呪縛から解放する一冊だと思う。こうした価値観があれば世の中はより楽しく多様な女性が世の中で泳いでいけるきっかけになるんじゃ無いかと考えるととっても嬉しい。


仮にこうした女性が結婚を本当に考えた場合、このループから抜け出すためのキーワードは海外。
以前結婚しない宣言をした女性『兼高かおる』からイタリア人と結婚して世界を転々としている『ヤマザキマリ』の存在が出てきた事を考えると、こういう自立できる女性は海外の人との結婚に舵を切るとうまく行く場合もあるんじゃないだろうか。


兼高かおるは結婚に対して自分には必要のないものと断言していたけど、似たような印象を受けるヤマザキマリは海外の人との結婚することで自分を保ちながら家庭を両立することに成功していると思うので。
それだけで全てがうまく行くとは思えないけど、一つの方向としてはありかなと思った次第。


もう一点。やはりここに戻ってくるけど、女性には妊娠のリミットが有る分、男性に比べると結婚できる年齢というのが短い。これは今のところなかなか抗えない事実。それを見据えつつ、女性が人生どう生きるか、をこの本を読むことで割と早い段階で考えることが出来る。例えば25歳で。
今まで曖昧にされがちだったこの辺の部分をきっちりと描いているから若い女性にもオススメ出来る。仮に結婚しなくても楽しいよという未来ね。


余談
今までのこうしたサブカルこじらせ系独身女性本って自己否定自虐しかしていなくて、なぜそうなったという分析はあってもそこから脱出する方法とか自己肯定方法が全然無かった気がする。反面教師や共感は出来てもなんともいえない閉塞的な読後感があったけど、これはそうした本とは一線を画す出来なんだよね。それは多分にスーさんのキャラや社会経験が大きいんじゃ無いだろうか。やっぱ人生色んな人に出会って色々経験してきた人の方が先を見通せるし新しい価値観も生み出せるなという至極普通の感想を持つに至ります。