AIひばりの意味
生前の美空ひばりの音声を使ってヤマハがボーカロイド化し、AI版の美空ひばりとして秋元康作詞の新曲を歌わせるというNHKの大型企画。
端的に言って生前の映像を元に作られたCGは作り物として認識できるけれど、歌の方は相当本物っぽい感じがあった。いくつか、ボーカロイドの音声と感じさせる部分もあったけど、それを上回るひばりっぽさ。さらに曲の作り方がこんなん言われたら泣くだろうという構成だったこともあり、観客は美空ひばりが帰ってきたと錯覚を起こし、号泣するレベルだった。
作詞の秋元康を始め、関わった人たちがみんないい仕事をしていたのもこの企画が成功したポイントだろう。
リアル系バーチャルアイドルの元祖、伊達杏子から約20年。初音ミクで花開いたボーカロイドの技術とCGが人の心に届くレベルまで進歩したということか。
これからこの分野がどういう方向に行くのか。人が人に似せて電子的に作り出したもので涙を流すことは一体どういうことなんだろうか。怖さと面白さが同時に襲ってきて非常に興味深かった。