国王誕生日にタイ人が一生に一度は登りたい山へ

タイ東北部のルーイ県最南端にタイ人が一生に一度登りたいという富士山みたいな山があります。その名はプークラドゥン。日本的に言うとクラドゥン山。標高は1288mと大したことはありませんが、タイの山にしては非常に珍しい事に麓から山頂まで徒歩以外で行くルートがありません。よって、山頂までは車が基本というチートなタイ人もちゃーんと歩いて登っていかざるを得ない希有な山なのです。


この山、他にも特徴がありまして山頂は1288mなのですが、山頂周辺の真っ平らなところの広さが60km2もあります。作り途中で放棄した山のような感じです。また植生も5段階に分かれており、日本でいうと屋久島の宮之浦岳のような多段階の植生の変化を楽しめます。


そのほかにも日本の山ではついぞみた事の無い驚愕のシステムやそのシステムに支えられた圧倒的なサービスなどつっこみどころ満載の面白すぎる山でした。


ここでは2回か3回に分けて紹介してみましょう。


さて、まずは麓の登山口から登山開始です。

入山料は1泊2日で一人30バーツでした。なお明らかに見た目が外人の人は300バーツです。
このほかにペットボトル持ち込みのリファウンド100Bを支払います。これはペットボトルを持ち帰ると返してもらえます。こういうところがすぐに世界水準になるのがタイの動きの早いところでしょうか。


そのほかの詳しい解説はDACOというバンコク1素晴らしい日本語フリーペーパーのプークラドゥン特集号を参考ください。
DACO(ダコ) 第280号 (2010年01月10日発売) | Fujisan.co.jpの雑誌・電子書籍(デジタル版)・定期購読



登山口から第一休憩所まではこのくらいの急勾配です。



第一休憩所に到着!!
最初にこの看板がほしいところですが、ここまでこないと見られません。



とりあえずかなりの急勾配を徒歩で上がってこないとここまでこられないところなのですが、お土産物や食堂等物資がもの凄く豊富です。このへんからこの山のもう一つの顔を思い知らされる事になります。



食べられそうな茸。



登山口からちらちらと見かけまくるこの見るからにモノを運んでいる人。タイ語ではルークハープと呼んでいますが、彼らがすべての物資を運んでいるのです。日本でも強力といういい感じの名前の人がいますが、ここはその人数が多すぎなのです。彼らの存在はこの山のもう一つの顔に迫るためにはかかせません。というのも1kg=15バーツで登山客の荷物を運搬してくれるサービスが非常にシステマティックに完成されているため、基本タイ人は山頂のキャンプ場で何泊しようとしても手ぶらで登山です。出ました!これですよタイ人のめんどくさがりスピリット。



そんな彼らのおかげで標高1000mの第3休憩所でもこんな美味しすぎるソムタムや



トムヤムなんかも地上より10バーツくらい上乗せするだけで食べられちゃうのです…恐ろしい…富士山だと山頂の物価は地上の5倍くらいの感覚がありますけど、ここはほとんど地上価格。水、どこでも10バーツですよ。500mlのペットボトルが。スーパーサービス。



こんな重そうなトウモロコシたちもほかほかです!こんな美味しいものが食べられる(徒歩でしかいけない)山は世界でもここだけでしょう。



こんなところを上がっていくんです。かなり急です。ここに写っているタイ人、手ぶらですよね。そこに注目です。サンダルで登るのもOK。なんと軽いのか…



子供もウキウキ。



そんなこんなで4時間くらいで山頂到着!!



山頂から3kmほどの平地を歩いたところにキャンプ場があります。ここはもう何でもあるといってもかまいません。山頂なのにオートキャンプ場なみの設備です。どうやって運んだのか謎だらけの物資がそこにはあります。



山頂到着後はやっぱりMAMA。うますぎます。



すべてを運んできたのはこの人たち。全く恐ろしい人たち。



山頂で一番感動したのは寒い事。口から白い息が見えたのはタイ初です。



暗くなって雰囲気も良くなってきました。




普通、日本の山頂ではキャンプ場はありませんし、山の中で一泊する時は携帯食糧とか山小屋で出る質素な食事がノーマルだと思いますが、プークラドゥンにはレストランなんでもありますので、タイスキをチョイス! あり得ませんし、超うまい。当然ですが、ビールもございます。ここは地上か!



そんなタイ人のどこでもサバーイなスピリットに感動していたら、今夜は国王誕生日。7時半の式典に合わせてプークラドゥン山頂でもスピーカーから国王讃歌が流れ始めるとそこで酒飲んでいた人や店員を含めたすべてのタイ人がどこからかろうそくを持ち出し、起立して合唱です。これにはびっくりしましたし、感動です。



バンコクに負けず劣らず幻想的な景色でした。


山頂にはレストランを始め、おみやげ屋やカフェなんかもあります。ここは原宿みたいなTシャツ屋。ぜんぶ運び屋が持ってきたと思うとここにある意味が分からなくなります。



明日は朝日を見に行くので早めに就寝。空には満天の星空が。それを見てやっと山頂に居るということを思いださせてくれます。