トヨタ博物館

一応今回のハイライトだったはずのトヨタ博物館
ただ、前回の技術史博物館を観た後だと普通の感想になってしまいますね。
スポーツカー、レース関係があまり無く、戦前の高級車と戦後の日本車を中心に非常に綺麗な状態で年代順に展示されてます。




なぜか、デロリアンがお迎え。


戦前の高級車コーナー。

ロールスロイスシルバーファントム。超でかくてかっちょいい。



モデルT。



今回一番驚いたのはこちら。モデルTのカットモデルfrom交通博物館!!
ここに移したのね。



スタッツベアキャット。やたらとさっぱりしてていい。フロントガラスのかっこよさ。
戦前の車の方がアヴァンギャルドなのありますよね。




レストア作業の光景展示。




デューセンバーグ モデルJ
7L/265psのモンスター。戦前の車って意外と超速いんですよね。



青いのがランチア アストゥーラ ティーポ233C
白いのがコード モデル812
ランチアピニンファリーナ。このころからピニンファリーナやってるんですね。



一気に新しく300SL。



オースティン・ヒーレー。



CitroënDS
この辺はもう必ず博物館にあっておかしくない車ですね。


続いて日本車。

最古のDATSUN。お、おう。
とにかく小さいです。カッコはシボレーA型などを完全に真似してサイズをもの凄く小さく。
日本の発展はこのやり方をどこでもやったことでなし遂げた感がありますね。
カメラも自動車もまさに然り、です。それが良い悪いでは無く事実として展示している事に感銘を受けます。



名車SUBARU360。デザインも技術もよく考えられていて、日本の名車は数有れど初めての名車はこのスバル360ではないでしょうか。
山田洋次監督の『家族』で前田吟倍賞千恵子、井川比佐志、笠智衆と赤ん坊2人の合計6人を乗せて福山のコンビナートを走る姿が思い起こされます。完全に乗せ過ぎです。確かローンで36万円で買ったというセリフがあったような。新車の価格ですね。ちなみに映画は万博の年、1970年なので、買ったのは生産最終年の最終型でしょう。




プリンスグロリア。まだアメリカの影響が強すぎる気がしますが、急激に風格を増す車体は日本の自動車産業が確立しつつあることを実感できます。



これが日本車のデザイン、というものが垣間見えるのがこの頃から。トヨタコロナ。




恐らく登場したときはS600、S800を含めてその可愛さを正当に評価できなかったんじゃ無いでしょうか。
今見ても内装含めて完成度の高いデザイン。また作って欲しいなあ。同じデザインで。
スバル360から10年経たずいきなりここまで来る日本、凄い神がかっていると思います。



トヨタ2000GT
HONDAのSに比べるとデザイン過多で個人的には好みでは無いですが、ヘッドライト出したときのこの顔はスポーツカーとしては間抜けにへにゃ〜としててかわいいですね。



逆にリアデザインは流れるように。リアはとっても素敵。



もうこの頃になるとかなり日本車らしいデザインというのが型にはまりつつありますよね。
HONDA N360



初代センチュリー。別格感が今でもありますが、若干アメリカ車の影響が無いわけでも無いですね。
でもフィンもなく、メタルのバンパーも角張っていて、日本車の佇まい。



ジウジアーロの手によるいすゞ117クーペ
欧州車の雰囲気を漂わせながらきちんと日本車になっているデザインは今見ると日本車最高峰なのでは無いでしょうか。




カクカクとしたところ、これが80年代にかけての日本車の特徴だと思うのです。
どちらも欧州車、アメ車それぞれ似付かないデザインになってきています。







ここはダダだーっと。1970年代から90年代初頭の日本車。この流れを見ると85年のカリーナで完全に日本車が日本車になった、そんな感じを受けます。で、91年のセルシオがその日本車っぽいデザインの頂点かと。今まではバカにしていた部分もあるけど、アメ車の真似から始まった日本車のデザインがやっと自己のアイデンティティを確立したという意味ではこの頃のデザインをきちんと評価するべき時期に来ているんじゃ無いでしょうか。欧州やアメリカに逆に真似されていたわけですからね。


ただこの後はトヨタのデザインは迷路に入り、グッとくるモノは無くなってしまいます。そしてあの日本車史上に残るダサさのプラッツを最終的に生み出してしまいます。



そんなわけでトヨタ博物館でした。美しいですが、割とオーソドックスな展示で産業技術記念館と比べるとコンセプトが希薄に感じてしまうかもしれません。


ここも鉄道博物館と同じで車だけを見せていればいいという考えで作られている気がします。そうではなくてもう少し車を取り巻く環境を作り込んで欲しかったなあ。あと戦後の外車の展示が殆ど無いところも残念。
戦後の日本車もテーマを決めて展示して欲しい。何でこの車を展示している、というところに達していないのですよ。ただ置いてあるだけ、技術の解説があるわけでも無いし。一般の人がもっと車に興味を持って貰うという点では是非改良を望みたいところです。