安田のシヌグ


研究対象である国頭村の安田(あだ)で伝統的に行なわれている「シヌグ」という祭りを見に行ってきました。このお祭りは国の無形重要文化財に指定されていてもうすごいんですよ。


 1年ごとにSmall(小「グァー」)とLarge(大「ウフ」)がありまして、今年はLargeの年。まず男性が3方の山に登り、身に樹枝や蔦葛をつけ,樹枝・棒をもち装草神となって部落を訪れ,それを待ち受けている女性たちを樹枝で祓います。この写真はエーヘイホーと言う呪文のようなものを唱えながら下山するところです。


 草木、つけまくりです。昔は全裸の上にしていたそうですが、明治以降は服を着るようになったとか。日本に居る事を一瞬忘れる、そんな不思議な感覚に襲われました。



山ヌブイが終わり、海で身を清めたあとは休憩に入ります。休憩4時間。ものすごく長いです。この時間を利用して参加者は実家に帰り、お昼ご飯を食べたりするようです。


 で、日も暮れかかった6時半に第二部が始まります。これはターングサトエーの儀礼。いわゆる田草植え、つまり田んぼに稲を植える動作を行ないます。この沖縄の言葉は微妙に発音が似ているものが多く、ターングサトエーでたくさうえ、意味を聞いてあーなるほどなーって思います。


 本島ではほとんど田んぼが残っていないんですが、こうした所作を見るとたくさんあったんでしょうね。シヌグを研究する民俗学研究者が多いのもうなづけます。



タクサトエーが終わり、最後はウシンデークと呼ばれる踊り。参加者は全員女性で、総勢40人くらいで輪になって太鼓を叩きながら踊る。この中に白装束の若い女性4人がいて、意味は解りますね?神話学で習ったような民俗がここにはまだ残っているのです。


 松明が燃やされ、終盤になるに従い熱気を帯びてくるこの踊りをみていると、唐突に現実感が無くなってきます。まるで非現実なのです。それほど神秘的で宮崎アニメのような不思議な感覚なのです。


 最後はカチャーシーになり、一日目の祭りは終わり。二日目は相撲とウシンデーク2があります。なぜ、安田が日本でも特異な事例になり得ているのか、その文化的なバックグランドをかいま見た気がします。