Airbus A380 日本就航に際して



Singapore Airline Websiteより




物心ついた頃から、父親の影響で飛行機が好きになった。最初は軍用機から始まり、幾多の趣向の変更を経て、沖縄時代からは主に旅客機を趣味の対象にしている。軍用機は撮影できる機会も限られ、生活とは相容れないものだからというのもある。いまでももちろん軍用機は好きだが、やはり撮影に向かないことが大きく、重きを置いているのは旅客機だ。
旅客機は空港に行けばいつでも撮影でき、天候や撮影場所やアングルにこだわることによって自分の個性が出しやすい。




しかしバリエーションが豊富な軍用機と比較して、旅客機のバリエーションは非常に少ない。そもそも主な旅客機製造会社が少ない。日本国内で一般的に見ることが出来るのはほぼ、ボーイング社かエアバス社だけとなっている。そのボーイングエアバスともに形状の差違は少ない。
こうした機体のバリエーションはここ10年で集約され、現在ではエンジンが2発か4発か、737,A320などの小型機か777などの大型機か747(ジャンボジェット)かという程度になってしまった。もっと言えばジャンボジェットかそれ以外かというのが日本の一般人の認識レベルだと思う。私の相方にA300とB767B777の違いを説明したことがあったがそれらを理解して見分けるのは難しいようだ。※







Singapore Airline Websiteより






昔はそうではなかった。先の映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」で登場したDC-6の時代を中心に、様々な旅客機製造会社から色んなスタイルの航空機が次々に登場して世界の空を飛んでいた。プロペラからジェットへの移行や、747などの超大型機の登場など話題に事欠かない時代。しかし80年以降そうした新スタイルの新造機は出てこなくなってしまう。調べてみると私が生まれた年以降に作られたものでそれまで以前の常識を覆すスタイルの旅客機は存在していなかった。主なものはA330,340とB777である。それはもちろん非常に優れて美しいのだが、スタイルは基本的には以前のものの延長と言っていいと思う。


そこへ来て、初の総二階建て旅客機Airbus A380の登場である。これに反応しないわけにはいかない。B747すら見慣れた世代にとって、なにしろ生まれて初めての新スタイル旅客機の登場なのだから。が、しかし、親父は一刀両断した。「かっこ悪い。B747が出たときには革新的であり、非常に美しいと感じたがA380にはそうしたものが見あたらない」。これには凹んだ。親父は前述の旅客機黄金時代とともに生きてきたわけで甚だ悔しいものがある。







Singapore Airline Websiteより






そう言われて冷静に機体デザインを見ると非常にかっこ悪く見えてしまう。生まれて初めての本当の意味での新型旅客機A380だが、外見的にはダサイといえてしまうのがなんとも苦々しい。B747の開発責任者ジョーサッターもB747開発時にやはり2階建てを検討したが、効率やスタイル面で劣っていたためあのような形に落ち着いたと著書で述べている。747開発当時の二階建て案はもっと客室幅の狭いものだったので、シンガポール航空A380の客室の広さ、快適さがいかに素晴らしさかはいうまでもない。しかしスタイル面での女性受けは二階建てA380、747に完敗といったところではないだろうか。


と、かなり悪く書いてしまったが、結局のところ今後この新機種が出たおかげで市場に刺激を与えてさらなる革新的な新型機の開発に繋がることを願ってやまない。機会がすぐにありそうなシンガポール>成田で早速利用したいと思う。願うことならばTG(Thai Air)にも早急に引き渡して欲しいものだ。


※A300とB767B777の違いについて。これらはエンジンがすべて2発であり、スタイルは似ているので見分けるのは確かに難しい。それぞれの一番分かり易い特徴としてA300は尻が他と比べて大きく上がっており、B767の尻っぽは丸く、B777の尻っぽはストローを指でギュッとつぶしたような平べったい形状になっている。