久々のDP3

ここ最近はほとんどがGR3で撮影を楽しんでおります。ただ、28mmという画角が広すぎるように感じることもあり、それならばと75mmのDP3を取り出して撮影してみました。

結果、当然ながらめっちゃ良かったです。

長らく私は天邪鬼なところがあり、出来るだけメジャー派にはならないように生きてきました。Apple Macもそのうちの一つですが、今ではiPhoneはシェアトップになって昔のアウトローな感じは皆無です。

 

現在のカメラ界のアウトローSIGMA。そんなSIGMAの作ったカメラがDPシリーズですが、とにかくゆっくりかつバッテリー消費が激しく、100枚も撮ればバッテリーが空になる仕様です。ところが撮影される写真は高精細且つ独特な艶がある色を出すことが可能で、病みつきになる人も多数おります。

 

今まで当ブログでDP3を扱った記事はこちら。

https://yspalace.hatenablog.com/category/DP3

他の写真機とはちょっと違う、使って楽しくはないんだけど、出てくる写真にワクワクする、そんなカメラです。

 

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金属やガラスの質感を再現するのが得意と言われているDPシリーズですが、プラスチックの質感の再現も得意だと思います。どんな肌触りなのか想像出来るのがDPシリーズの写真だと思います。

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東京カテドラル聖マリア大聖堂

丹下健三 1964

丹下健三で重文、国宝、世界遺産ということになれば選ばれる可能性が高いのは平和祈念資料館、代々木体育館、そしてここ。先日のローマ教皇訪日の際に訪れた事でもさらにその感覚がある。

今回はメディテーションコンサートに参加したので、内部も見学することができた。

 

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本当は快晴の昼が一番映える建築だと思う。ただ、月光に照らされるステンレスも悪くない。というか相当いい。

 

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非常に細いながらかなりの高さがある鐘塔。

 

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内部の印象は夜で上からの光がなかったこともあるが、教会というよりも地下要塞の祭壇。続・猿の惑星のあの教団の感じであるのが偽らざる感想である。

コンクリートの重みを嫌が応にも感じさせる重厚さは他の教会建築ではない感覚だろう。昼間だとまた違った感想を持つかもしれない。

 

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外観の軽やかさ、綺麗さと内部の対比が極端で、他に似たような建築を思いつかない点で稀有な作品。この年代を代表する建築の一つであることは間違いないだろう。

イタリアやドイツのカテドラルとは歴史の長さこそ違うと思うが、同種の観光価値があると思う。それにしては観光客がほとんどいないことが不思議である。

そのうち今とは別の状況になるのではないかと予想しておく。

大多喜町役場(1959)

今井兼次(1959)の建築を修復、再生して使い続ける判断をした大多喜町役場。その功績で2013年BCS賞受賞。今後、取り壊すのか使い続けるのか、判断を迫られる事例がたくさん出てくるであろう「モダニズム建築」をどうするか、一つの回答を示してる。

 

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所感:無学のため今井兼次をよく知らなかったけれど、実家近くの響橋の設計を行った事を知り親近感が湧き、大多喜町役場を訪問。

千葉県内のモダニズム建築は千葉市内に集中している印象があるので、貴重。ちなみに南房総のBCS賞受賞建築はここだけ。

自分の中で最も興味があり、惹かれるのは1955年から1970年くらいの建築。特に内装はいろんな素材を使うけど、外はコンクリートだけでどうにかしようとしていたモダニズム建築。そういう意味でこの建築は大好物。水平基調、地下一階平屋建て、利用者も職員も使いやすそうな形で若干の遊び心と上品さも感じられる。

こうしたぱっと見、古い、派手さのない建築を修復して使い続けようととした大多喜町の方々は後世とても評価されることになるんじゃないでしょうか。きっと痛んでいたであろうコンクリートも綺麗になっていました。

菊竹清訓タワー

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せっかくなので週末、再びつくばを訪れた。こちらは菊竹清訓タワー。

 

 

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所感:菊竹清訓ほど差が激しいというか、1960年代と90年代で印象の違う建築家も少ないだろう。個人的に最も好きな菊竹清訓は米子の旅館東光園。はちゃめちゃな外観、構造に剣持勇の家具がベストマッチ。京都の国立京都国際会館大谷幸夫)とともに60年代大好き建築の2大巨頭である。

そんな菊竹清訓が1976年作ったのが今回掲載した松見公園 展望塔・レストハウスである。正直、なんでここにタワーが必要なのか、今となってはなんとも意味が薄いが、つくば市筑波山を一望できるため、首都機能移転や科学万博開催をお偉方に宣伝するためのタワーだったのだろう。

たまたま行った時は市民感謝祭とかで無料だったが、普段は100円くらいとるようだ。

 

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しかし、そんなタワーおよび人工池の上に建つレストハウスの造形は直線基調でコンクリートと滑らかな大理石。手すりにはステンレスなどの金属を多用。スッキリしていながら、栓抜きタワーとも言われる、ここにしかない形を作り出している。

正直、めっちゃいい。

展望台からの眺めはビミョウに高さがなく、何もない、と言われてもおかしくないレベルではあるが、76年の建築としては望外にシンプル、落ち着いており、好みである。

ぜひ天気のよいに訪れて、魚に餌をあげたりのんびりしてほしい。

 

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せっかくなので展望台からの景色である。こんな感じです。

 

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紅葉の季節にはこんな感じになる。市街地にある都市公園としてかなり贅沢な設備、機能、景観を持っている。

 

つくばセンタービルから巡る近代建築の路

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つくばに初めて行くのでなにか見るものは無いかと思っていたら、駅前に超有名建築のつくばセンタービルがあるのを思い出した。

つくばセンタービル(1983)は磯崎新の代表作であり、ポストモダンという建築言語の象徴ともいうべき建築。ポストモダンという言葉は便利な言葉ではあるけれど、曖昧で、包括的。その象徴がなぜつくばセンタービルなのか。

 

 

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ということでつくばでの会議のついでに観にいってきた。

行って思ったのは、これが平成時代に乱立する建築の親玉だった、ということ。この建物以前にこんな建物は無かったと思えばこそ、この建物がもてはやされる理由が分かる。

数多くの西洋建築からの引用は必然性が分からない。例えば同時期のアニメ、トップをねらえ!的なパロディやオマージュとは違う。またHIPHOPのようなサンプリング、マッシュアップ的な手法とも違う。割と何考えているのか分からない不気味な引用である。ただ、過剰な装飾性、物語性などの表現をなんとか建築でやろうとしていたのは伝わって来る。

これ、なんかに似ているなと思ったら使わない機能がてんこ盛りの初心者向けと書いてあったNECや日立のパソコンだ!あの頃のあの感じがこのビル。

それに比べるとこのあとでてくる谷口吉生はまあiPadみたいな感じだ。

 

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磯崎新さんは建築家の中では過剰に語る方で、建築論的な本も数多く出している。ただ、このビルを見ると難解な事をいって、出来たモノの出来映えや評価を煙に巻いているんじゃ無いかと思う。磯達雄さんはそれを肯定的に道化師性といったが、まさしくその言葉がしっくりくる。

 

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ただ残念ながら建物に興味の無い多くの人はこの建物をそんなに愛してはいないんじゃない?というのが何となく広場のゴミの散らかり方や看板の文字のチョイスなんかからも窺い知れる。

 

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とはいえ、親玉であるということはオリジナルである。あの平成のヘンな建物たちに違和感を感じている人こそ程、見ておいた方が良いなと思う。

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さてさて、気分を変えて、この建物から南の方に歩いて行くと有名建築家の建物がぽつりぽつりと建っています。さすがつくば。

 

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まず一つ目は久米設計のライトオンつくば。上半分がテラコッタの日よけ、下半分がレンガで覆われている近代的で割と好感の持てるビルです。

f:id:p0lar-star:20191126122740j:plainこちらはめっちゃ新しく2006年竣工。ライトオンって確かにレンガのイメージありますから、バッチリです。ただ、ライトオン社はつくばがあまりにも東京から遠かったためかこの自社ビルからショップ共々撤退してしまいました。今は違う会社が入っています。なんとなく、つくば駅前、マジ寂しい状況です。やはり車社会だからか。

 

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さて、その先にあるのが、あの伊東豊雄の駐車場!伊東豊雄が駐車場作っていたというのも驚きですけど、言われてみると結構特徴がある駐車場です。私も写真を割合とまじめに撮っていてこれもかなり好ましい建築です。こちらは1994年竣工です。車のスロープが外側に出ているところが機能的。

 

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その先に私の大好きな谷口吉生つくばカピオというアリーナ兼ホールがあります。

谷口吉生は作家性が強く、見れば谷口だと分かる建築が多いと、かねてから思ってて、それがまた大好きなところでもあるんだけど、このつくばカピオも、笑っちゃうほどめっちゃ谷口でした。

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ちょっと見て下さい。

「谷口吉生 丸亀」の画像検索結果

丸亀美術館

「谷口吉生 京都」の画像検索結果

京都国立博物館・平成知新館

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法隆寺宝物館

MoMa NY USA 1.jpg

ニューヨーク近代美術館新館

「日産グローバル」の画像検索結果

日産グローバル本社

 

これ全部谷口吉生。これは誰でも分かりますよね。直角に横面も覆う深いひさしと縦の柱使いまくり。これだけです。いくら何でも同じネタで連続しすぎ?いえいえいこれだけなんですけど、さっぱりしてて、めっちゃいいんですよ。上でも書きましたけど、同じデザインの仕方をいろんな製品で使い回すApple的な良さがあります。

f:id:p0lar-star:20191126123329j:plain同じネタだけに細かいところまで抜かりなく丁寧に仕事しているのでどこ見てもきれい。

 

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人柄的にも建築についてほとんど語らないというのが潔くて好きだし、寡作なのも他の有名建築家がさいとうたかお的なプロダクション方式で量産しているのに比べて作家性が出やすく、きっちり作品をコントロールしている気がしていい。

 

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正直今生きてる建築家の中で誰が一番好きかって聞かれたら谷口吉生ですよ。スティーブジョブスもすげえ好きそう。

 

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というわけで磯崎新伊東豊雄からの谷口吉生だともう圧倒的に谷口吉生が良かった。ブレ無い良さ、安定の美しさみたいな状況で、他の建築と比較して見られるのがつくばの面白いところ。

 

f:id:p0lar-star:20191126180823j:plainさて、その先に私の目的地だったつくば国際会議場があります。ここは坂倉準三の事務所がやってます。坂倉準三は1970年頃になくなっているので、作者死後も続くサザエさんドラえもんクレヨンしんちゃん方式ですが、外側は地味で中は割と派手って感じでそんなに悪くないです。

 

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めっちゃいい!って建築ではないんですけど、ちょうど良い感じです。

 

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コルビジェのLC2が置いてあるのはバブルっぽかったですが。

 

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このエスカレーターワークが特徴的。

 

私は今回ここまででしたが、そのままずーっといくとつくば中央公園があり、そこにあるレストハウスは本家の坂倉準三。松見公園のタワーは菊竹請訓です。さらに会議場のすぐ近くにはつくば市立竹園西小学校があり、ここは京都駅ビル梅田スカイビル原広司を投入ということで、まあとにかく新しく作った都市だけに有名度の高い建築家の作品がたーくさんあります。

 

ちょっと歩いて回るだけで著名な建築家の色々な作品をここまで見られる環境はなかなかないので、秋葉原から1210円払ってつくばエクスプレスに45分乗って行くのもアリだと思います。

ワシントンハイツのアメリカ住宅改め、オリンピック宿舎

代々木公園の隅にこんな古びた建物がひっそりと置かれている。

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といっても原宿から近いため、結構賑わっているエリアなので、見かけたことのある人は多いかもしれない。

 

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こちらオリンピック以前はワシントンハイツとしてアメリカの敷地だった。そこの住宅を再利用したのがオリンピックの選手村。

 

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そんなオリンピック選手村の宿舎が一棟だけ残っている。

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中を伺うとさすがにオリンピックから50年以上、アメリカ時代から換算すれば70年近く経っているはず。

 

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アメリカのことは一切書いていないのが、逆に興味深い。


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まさか目の前で2回目のオリンピックを迎えることになるとはこの建物も思っていなかったことだろう。