TAMA ZOO2エントランス 〜映画におけるオープニング〜

 動物園における入り口はその先に何があるのかを感じさせる印象的なものであることが重要です。近年映画館はシネコンと呼ばれる形態が増え、その入り口もハリウッドの雰囲気を押し出したものやモダンなインテリアでまとめたものなど従来の映画館の入り口と一線を画すものが増えております。それはさておき・・・


 多摩動物公園のエントランスではコンクリートで作られた象(インド象でしょうか?)が橋桁の一部として造形されています。なんとなく背中に橋桁が突き刺さっているように感じて、自由を阻害されているように見えてしまうのが難点ですが、非常に印象的です。日常生活や他の施設ではまず見かけることのないゾウだからこそ、まさに「ここは動物園以外のなにものでもない」という強いメッセージを感じ取ることが出来ると思います。そして「ここに偽物があるのだから本物ももちろんいるだろう。早く見てみたいな」という期待を倍増させるのです。


ちなみにサンディエゴ動物園のエントランスは同じようにアフリカゾウの植え込みが配置されています。(下の写真参照)


映画におけるオープニングは様々な手法があり、観客を映画に引き込む重要な一部になっています。特にこの動物園のエントランスの機能に似たものとして「スターウォーズ」シリーズのオープニングがあげられます。「A long time ago in a galaxy far, far away」という全くの異世界と思わしき時代、場所設定が現れ、効果的な音響デザインとともに大きくタイトルが画面に映し出されます。ただちに壮大かつ耳なじみの良いテーマ曲が鳴り響き、観客はこれは「スターウォーズ」なんだ!という認識を一瞬ですませてしまいます。まさにこれからその世界に入って存分に楽しんでやろうという心構えが出来てしまうわけです。


このように動物園におけるエントランスには「これからどのような体験が可能なのか」を来た人々に魅力的に一瞬で伝えることが求められるのではないでしょうか。