Museo dell’Automobile di Torino
もう一つ、トリノの名物が自動車博物館です。まあ、自動車博物館というのは世界中にありますし、古今東西の名車旧車の展示という流れは同じだと思うのですが、ここは今年の春、4年の歳月をかけてリニューアル、3月20日に新装開店したばかりの最新の自動車博物館で、展示もなるほどこれぞ2011年の自動車博物館の姿だと思えるほど素晴らしかったので紹介させていただきます。
リンゴットから少し歩くとたどり着く博物館。いま見ても非常にモダンな建築ですが、1960年に建てられたもの。今回のリニューアルでも外観にパネルを張ったくらいでほとんど変更されていません。
このリニューアルされた博物館の先進性というか今までの自動車博物館と明らかに違うのは、年代別に自動車が綺麗に置かれているだけでなく、その自動車が生きた時代、場所、社会性などが自動車の展示されている周りに面白おかしく再現されていることです。つまり自動車を中心とした1900年以降の時代の空気を感じることが出来るようになっているのです。そのため自動車そのものに興味がなくても展示されている自動車がどういう時代に生まれ、どんな人達に使われたのか、そういうことが楽しくわかるようになってます。
しかしこのような展示方法だとその背景部分が安っぽい場合、展示自体が空虚に感じられてしまいがちですがそういうことは一切無くとてもレベルは高いです。例えば東ドイツの車の展示ではベルリンの壁と検問所、スポットライトが設置され、対極の存在として壁の向こう側には西側の楽しそうなヒッピー文化と結びついた車が置かれていたりと大変良く出来ているなあと感じました。
こうした展示の場合、展示すべてを写真で表現することは難しく、今回、個々の車両の写真のみ以下に掲載しますが、まわりには濃密な展示が展開されています。是非足を運んだ時にどんな展示になっているのか想像してみてください。
また、個々の車の品質、塗装、照明のレベルは今までみた博物館の中でもトップクラスだと思います。非常に美しく展示されているのでそうした基本的な観点で見ても楽しめると思います。
1930年のアメリカ、パッカード。この時代の車ってもちろん馴染みがないですが、ここで見ると非常に魅力的にみえます。特に内装がものすごく綺麗になっていてこの時代の車の質感もすべて伝わってきます。
とにかくデカイという印象をうける1914年製のロールスロイス。
ミラノの自動車会社1929年製イソッタ・フラスチーニ。
がっちりとしていてなにしろ美しい。あまり有名ではないけど素晴らしいイタリアデザイン。
メルセデス。塗装の艶やかさが背景の写真とマッチしていてどっしりとした美しさを感じられます。
赤いラインがセンスいいですね。
アルファ・ジュリエッタのステアリングホイール。
ヒッピー感漂うシトロエン2CV。対極にあるのはトラバント。東ドイツの車。
こちらはトリノにあった自動車関係の会社、工場を今の空撮写真に落とし込んだ物。非常に大規模な自動車産業があったことがよくわかります。上はFIATの現工場です。
溶接工みたいなガードの後ろは各年代の自動車のCMライブラリーになってます。これは見ている人自体を展示に利用してしまう方法ですね。ちょっとドキッとしますが、内容はCMなので自分の見たものがあるだろうし(イタリア国内ですけど)、盛り上がっていて人気でした。
そして一番盛り上がると思われるのはイタリア製レーシングカーの歴史展示でしょうか。
背景がプロジェクター投影で色々やってくれて結構かっこいいです。縁石部分はLEDディスプレイでスゲエスピードで走っているような演出。
この他にも大量の展示がありますがどの車も魅力的に展示されていてみていて飽きない。ここにはうまく写真が撮れなかったので載せられませんでしたがあのシトロエンDSのデザイナー(フラミニオ・ベルトーニ)はイタリア人なんだぜ!すげえだろっていう展示がとっても良かったです。調べるとベルトーニはトラクシオンアヴァンや2CV、アミ6などシトロエン黄金期の傑作デザインを担当しているんですね。イタリア人やるなあ。
その他クレイモデルなどのありがちな展示も照明に気を使っていてよく出来た展示だと思いました。トリノに行った際は是非おすすめです。8ユーロ。