Il Lingotto di Torino
トリノに来た最大の目的、それはFIAT社の工場だったリンゴット工場をそのまま利用したNHリンゴットホテルに泊まり、古のFIAT社工場の建造物であるリンゴットビルを見学すること。
イタリア最大の自動車会社にして最大の工業製品会社であるFIAT社。FIATとはFabbrica Italiana Automobili Torino の略で、「トリノ、イタリア自動車製造所」の意味。それほどFIAT=トリノであり、工場のあるリンゴット=FIATの意なのです。
さてSuperBikeをよそに抜けだした快晴のモンツァからトリノまでのアウトストラーダは3車線以上の最強バージョンで2時間ちょい。ほとんど直線で、流れの速度は140km/h以上。この際、1.2LのFIAT500で当初懸念していた高速走行は全く問題ないことがわかりました。騒音も全く許容できる範囲です。
5速が大分余裕があり、140kmで4000回転ほど。170km/hくらいであればそれほど無理なく巡航できると思います。逆に1速が日本の1.5速くらいの設定になっていて発進時以外も多用します。この思想の違いは面白いですね。
そんなアウトストラーダで印象的だったのはドイツ車の速さ。オペル以外のドイツ車はVWもBMWもメルセデスもすべて超ハイスピード。とにかくみんな追いぬき車線で追い抜きまくり。そのなかでも特に速い(高速走行好きが乗っている)のはAUDI。イタリアでは昼間でもエンジンかけていたらスモールライト点灯が標準、というか新車はすでに消せない設定になっているようなので、AUDIのやたら目付きの悪いLEDのスモールがバックミラーに写るとすぐに避けることが身についてしまいました。
ドイツ車のフェイスのデザイン基準はバックミラーに写ったときに如何に怖がらせられるかというのもあるようです。
さて、割合近代的な都市、トリノで迷いに迷い、たどり着いたのがこちら。
NHグループのホテルとなっているNH Lingotto Tech Hotelです。
中はもともと工場だったのをそのまま利用しているため、天井がものすごく高い。
部屋の中はモダンなデザインです。ここももちろん天井がとても高い。
圧巻なのはレストラン。もともと屋根のなかったと思われる部分が吹き抜けになっており、細長い開放的な空間になっております。
こちらの再計画はデザインをジェノバ出身の超有名建築家レンゾ・ピアノが担当しており、建築好き、空港好きにとっても非常に興味深いものだと思います。古くは大阪万博のイタリア館やポンピドー・センターでおそらく名前を聞いたことがあると思いますが、日本に一番馴染みのあるものというと関西国際空港でしょうか。
こちらのホテルですが、中心部からだいぶ離れているので値段も高くなく、内装やサービスを考えると非常にお得でした。まあ、本当に観光名所である旧市街からは離れているのでリンゴットに泊まることが目的でないとちょっとお勧めはしにくいホテルではあります。
リンゴット工場の面影
このFIAT社の自動車工場は1923年に竣工し1982年まで稼動していました。非常に大きく、完成当時は世界最大の建築物だったようです。とにかく驚くのはその合理的な生産方法で、1階から5階まで各階に生産ラインがあり、上に上がっていくに従い、車が完成されていきます。そして屋上の1.1kmの周回コースでテスト走行が行われ各地に販売されていきました。
その車が準々に上がるために作られたのがこの螺旋状になったスロープです。
こちらは5階から。工場の両側にこの螺旋状のスロープが設置されており、巨大なショッピングセンターとなった今でもその勇姿を見て、歩くことが出来ます。
非常に分かりにくい場所にあるリンゴットショピングセンターのこのエレベータ(リフト)を登って行くと…
たどり着いたのはこの工場で一番有名な屋上テストコースです。両側にバンクをつけたオーバルで完成車のテストが行われていました。今ではホテルに泊まった人や屋上にあるレストランを利用する人などにキーが貸し出され、見学することが出来ます。
昨日のモンツァほどではありませんが、かなりのバンク角です。
今では車の通行はできなくなっていますが、歩くのは自由にできます。
これを工場の屋上に作っちゃったというのがほんとに面白いですよね。
ここは数々のCMでも使われており、ミニミニ大作戦という映画の中で3台のミニがPOLIZIA(イタリア警察)とカーチェイスをするシーンが一番有名でしょう。
再開発時に付け加えられたのがこの会議室。正直にいってあんまりイケテないので、人気はないようです。
バンクの真ん中から。天気の良い日は北にトリノオリンピックの会場になった山々が見えるはずです。今回のイタリア滞在中、唯一晴れて欲しいのに晴れなかった場所になってしまいました。
この屋上には87年にゲルハルト・ベルガーが乗っていたフェラーリF1が置いてあります。透明なビニール越しに撮影してますが目の前にはなぜかパンダに乗った監視の人がいます。でも他には誰もいません。かなりレアな場所に展示。
ちなみにホテルの駐車場には当然のようにこち亀ネタの『フュラーリテスタオッサンドナイシテマンネン』でおなじみのテスタロッサが駐車してあり、さすが、イタリア!!です。そしてSEGAのOutRun、思い出しますよね。この角度からみると。
おまけ。
リンゴットショピングセンターの映画館ではマチェーテが絶賛上映中。しかもこの堂々目立つ位置です。イタリア人マチェーテ好きなんですかね。