Kindle Paperwhiteの表示品質


Kindle Paperwhiteの日本語版がタイの自宅にも届いたので、今回はその表示品質についてマクロ撮影などで通常の液晶とどう違うのか検証してみます。



箱から初めて取り出して見ると、画面はこのような絵のような写真のようなものが表示された状態になっています。これが電源オフ時にはランダムで切り替わり、つねに表示されています。
パッと見、「え、これは紙に印刷されているんだよね?」と思うような印象を受けます。しかし電源オンでフロントライトが点灯し、表示が切り替わるので、これが印刷されたものでは無いことが分かり非常に驚かされます。



上の写真の一部を拡大してみるとこのようになっています。液晶と違い、ドットが全くといって良いほど見えません。
Kindleの表示に使われているのはE-inkと呼ばれる表示方式で、微細な玉の中に白と黒のインクが入っており、それを電界によって移動させることで、表示を行っております。そのため電気を必要とするのは表示の書き換え時だけで、バッテリの持ちが通常の使用方法で8週間という液晶では考えられないほど長持ちする理由にもなっています。



ちなみにほぼ同じ倍率でiPhone4を写したものがこちらです。高精細なiPhone4の液晶ですが、ここまで拡大するとドットの集合であるのが良く分かります。


なお、顕微鏡でこれらを写したものを紹介するページがありますので、是非ご覧になってみて下さい。液晶の表示がドットの集合でカクカクしているのに対してKindleのE-Inkは紙に印刷した文字に非常に近い有機的なものであるのが良く分かります。
http://www.bit-101.com/blog/?p=2722



上記の通り、原理的に表示されているときに一切ちらつきが無いため、紙に印刷された文字を読むのと同じで非常に読みやすいと感じます。


では、文字の表示ではどのくらい違うのか、マクロ撮影してみました。


上がKindle、下がiPhone4です。
kindleは指で触る部分がざらざらした透明なプラスチックのようなもので覆われており、そのわずかな突起によりちょっとだけぼやけたように見えますが、ドットは全く見えません。
ただ、文字のシャープさ、解像度でいうとiPhone4のほうがより鮮明です。




しかし液晶と特に違いを感じるときはななめから見たときです。Kindleはいくら斜めにしてもそれは紙に印刷されたものを斜めから読むのと同じように見えます。液晶は斜めにするととたんに暗くなり、読みにくくなります。この差は非常に大きく、紙と同じ感覚で読む大きな違いを生み出しています。



また、いままでE-Inkは明るいところじゃないと(紙と同じで)読めないというデメリットがありましたが、Kindle Papwerwhiteにはフロントライトが付き、暗いところでも紙を上から照らすように光るので完全に使えるものになったと思います。



なお紙の本との棲み分けについて、個人的に感じたことは仕事や勉強などで必要な、能動的に読むようなタイプの専門書は紙ベースのようがページ送りの容易さや書き込み可能な所、人に貸せるなどの点で適しており、小説など受動的に読むものは電子書籍が適していると思います。


まだまだ電子書籍自体の数が少ないですが、白黒の本を読むだけの端末としてはとりあえず完成形といってもいいくらいに良く出来ており(ま、書き換えの際にもたつく点などは気になる人も居ると思いますが)、今後の書籍充実に期待がかかります。特に海外で生活していて思うのは日本語の活字不足ですので、大変便利な時代になったと感じます。大きさも小さく、213gと軽いため、文庫本を持ち歩く感覚程度で楽しめる端末がついに出た、という感じです。古くは1990年初め頃のSONY DATA DiskmanやシャープのZAURUSなどでほんの少し携帯電子書籍を体験しておりますが、やっとこれならいける!というものになったと思います。


とにかく紙と同じで読みやすいですし、簡単に本が買える仕組みが出来ていますので、非常に気軽に本が買えてすぐに読めるという便利さは結構やみつきになって、結果的に本を読む量が増えており、今後の展開が非常に楽しみです。とりあえず電子書籍で読みたいジャンルNo.1のSF関係の充実をお願いしたいものです。