在タイ8年目にして初のムエタイat新ルンピニースタジアム

タイの格闘技といえばムエタイタイ語だとムアイ・タイかタイボクシングで通じます。
タイに来たらまあ、ムエタイ見たいですよね。日本に来たらだいたい外国人は相撲、みたいじゃないですか。
その国独自の格闘技って動物園と同じで、見ればその国をかなり理解する助けになる気がするのです。


そんなムエタイ、ワタシはこちらに来てすでに8年目に突入しているのですが、パタヤなどの歓楽街で
軽い感じでやってるモノしか見たことが無く、今回やっとその機会を得ることが出来ました。



バンコクでリアルなムエタイを見たい場合、メジャーなのは2箇所あります。
一つ目が王室系と呼ばれるラジャダムヌンスタジアムもう一つは今回行った陸軍がやってるルンピニースタジアム
基本的にどっちかに所属している選手はそこにしか出ない、とのことです。




なお、それぞれの試合やっている曜日は
ラジャダムヌン 月、水、木、日
ルンピニー 火、金、土
で、平日は夜6時からやってます。
日ごとに対戦相手は変わるので何ともいえないですが、TV中継されるルンピニースタジアムでのビッグマッチは火曜か金曜のようです。


ルンピニースタジアムはその名の通りルンピニー公園にほど近いところにあったのですが、今年2月に移転しまして、ドンムアン空港近くのラムイントラ通りにあります。そこにいってまいりました。スクムビット通りからならタクシーで30分くらいのところにあります。結構遠いです。




まず入場料なんですが、タイで良くあるタイ人価格と外国人価格が分かれています。
通常そういうダブルスタンダード価格にしているところはタイ人価格はタイ文字で書かれていて外国人には判別できないという阿漕といえば阿漕な表記が多いのですが、ここはもうバーンとアラビア数字で出ています。さらにこういう所はだいたいタイ語で話しかければサクッとタイ人価格で買わせてくれるのですが、ID見せろとか結構厳しいので『所得税を払っているにもかかわらず』外人料金で入ることにします。



試合によって価格は違うようですが、それほど変わらないようですので、ご参考までにこの日は
タイ人 リングサイド 2000B 2階席 480B 3階席 240B
外国人 リングサイド 2000B 2階席 1500B 3階席 1000B
とこのようになっております。


この2000B!!!日本円で7000円近いんで、どうかと思います。



というわけでタイ人価格240B、外人1000Bの3階席に行きました。
こちら上の写真の通り、コンクリート打ちっ放しにエポキシ樹脂の塗装がされているだけの簡素な座席です。



試合は6時から始まるのですが、始まる前に起立して国王に敬意を表すところが非常にタイらしいです。
全部で9〜10試合有り、メインの試合は7つめ。初めの二つはかなり若いボクシングの試合でした。




なお国王の肖像画は試合が始まると隠されます。



ボクシングはそれぞれ2回戦、4回戦でした。



まだまだ観客も熱くなっておりません。ボクシングが終わるといよいよムエタイが始まります。



さっきまでご飯を食べていた音楽隊もムエタイに備えます。
ムエタイは試合の間中音楽が流れます。これがなんともなまめかしい音楽で雰囲気がグッと盛り上がります。



ムエタイはすべて5R制。試合が始まる前は必ずワイクルーと呼ばれる儀式が行われ、グググググッと引き込まれていきます。
この頃には場内の観客は約9割がギャンブラーっぽい人達で埋まっていきます(3階席のみですが)。



さて、試合展開なんですが、初めてムエタイを見たワタシにとっては非常に奇妙に感じました。
とにかく、ギャンブラー達のために試合がある感じなんですね。どうやら3階席の観客はラウンド1、2で賭け対象を決め、胴元に掛け金を支払います。
そのため、賭けを大きくするためにほぼKOがなく、ラウンド1、2は競馬でいうパドックのような感じで、ギャンブラー達が賭け対象を決めるために使われます。選手も様子見します。そのため実質ラウンド3から試合が始まり、2ラウンド取った方が勝ちという状況かと。そして、どちらの方が優勢なのかの審判基準が見た目のダメージとは違う気がします。



多くの格闘技ではダメージを与えた方が勝ちですが、ムエタイでは有効なポイントをより多く取った方が勝つという採点競技に近い気がしました。ギャンブラー達は完全に玄人なので、どちらがどのくらい優位になっているのか分かっており、え?そのキックが?というタイミングで盛り上がります。R3,4で勝負が付くと5は見ずにトイレに行ったりするくらいの玄人っぷりです。



なるほど、正直派手さ分かり易さはないけど奥深いなあという印象。他の格闘技とは随分雰囲気が異なる、なんともタイらしい格闘技ですね。



あと5ラウンドの最後の方はお互いにどちらが勝ったか分かっているのか、ほとんど戦わないんですね。あれもムエタイの美学なのでしょうか。柔道などのように負けが分かっていても最後まで戦い抜くってわけではないのです。



ただ、スポーツにおいて地域性や個人的な関係を除いて、勝つ確率が低いと思われる特定の対象を応援するファンというのは動機付けがどうも弱い気がしていたので、今回のように賭けをベースにして強そうな奴が一番人気というのは非常に分かりやすいと目から鱗でした。



そんなわけで、普通の格闘技だと思ってみると全然違う魅力があるムエタイ観戦でした。
ぜひYoutubeとかで試合を予習してから見に行くことをオススメします。あとメインの試合まで結構長いので7時とか8時とかから見に来ても良いと思います。